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採用業務は外注(アウトソーシング)できるのか?メリットとデメリットも解説

採用担当者がかかえる課題で主に挙げられるのが「応募がない」「辞退が多い」「採用計画を立てるのが大変」「個別対応が煩雑」です。

課題を解決するひとつの方法に採用業務の外注化(アウトソーシング)があります。

採用業務を外注化することで煩雑業務からの解放、プロのノウハウを活用できるなどの効果が期待できます。とはいえ「採用業務は社員がやるべきこと」「応募者に失礼になりそうなので外注なんてできない」と思われる方もいるかと思います。

今回は、採用業務の外注について詳しく解説します。

採用業務の外注は、採用代行、採用アウトソーシング、RPO(Recruitment Process Outsourcing)とも呼ばれ、専門の代行会社も多く存在しています。

結論 採用業務は外注できるか

事前に「何の採用業務を外注するか」を決めておくことが重要ですが採用業務は外注可能です。

「採用を困っているから、明日から依頼するよ。よろしく」と、このような粗い依頼はできません。

従業員に依頼するのとは違い、外注の場合は契約書に明記されていない業務は依頼できません。また突発的に発生する業務やイレギュラー業務も対応外になります。(契約外の業務を依頼し代行させてしまうと違法になります)

ちなみに細かい話ですが、外注には請負契約と準委任契約(委任契約は割愛)があります。ここでは詳しくは説明しませんが、請負は成果が義務づける契約で、準委任は行為を委託する契約になります。

準委任の事務処理という行為のなかにイレギュラー業務も包含できれば対応可能になる場合があります。(判断に迷うときは法務担当や弁護士に相談することをおすすめします)

採用代行のメリット

一般的に想定されるメリットは2つです。

採用担当者がやらなければならない業務(コア業務)に専念できる

採用担当者は、応募者と面接官との面接日程の調整、合否連絡、採用稟議作成、内定および入社時の書類のとりまとめ、イベントや説明会の企画・設営・運営と煩雑な業務をたくさんあります。

さらに採用は応募辞退を避けるため、丁寧にかつ迅速に対応する必要があります。

煩雑な業務をこなしつつ応募者の対応をしなければならないところ、採用代行会社に採用業務を外注できれば、採用担当者は採用計画立案や面接などのコア業務に専念することができます。

スケジュールどおり効率的に業務を進められ、さらに最適な手段を講じてもらえコスト削減も見込める

採用業務のプロフェッショナルが代行するため、スケジュールどおり段取りよく、かつ正確に採用事務を処理してくれます。
また最新の採用手法や他社事例のノウハウを活かし、自社に最適な手段を講じて採用のコストパフォーマンスを高めてくれます。

採用代行のデメリット

メリットがある一方でデメリットは主に2点挙げられます。

費用がかかる

毎月十数万円以上かかることもあります。効果によっては代行会社に支払う費用を負担に感じることもあります。

また、依頼する業務範囲や量、難度によっても費用は大きく変わり、なんでもかんでも外注すると想定上に費用が積みあがってしまいます。丸投げに近ければ近いほど費用はかかります。

採用ノウハウが社内にたまらない

何かしらの理由で採用業務を外注先から巻き取り内製する場合、社内にノウハウがなく誰も実務ができずに採用が滞る可能性があります。

外注する際に解約したときの影響範囲も考えておくとよいでしょう。

採用業務の全てではなく部分的な外注がベスト

採用は事業を推進するうえで重要な仕事であるため、全ての採用業務を外注するのはリスクが大きいのは当然です。
とはいえ実際に採用業務全てを外注することはできるでしょうか。

回答は、「理論上は可能ですが非常に難しい」です。

なぜ、採用業務の全てを外注するのが非常に難しい、のか、いくつか挙げてみます。

採用したい人材のイメージを一致させる必要がある

自社の文化や風土を理解し、求める人材のイメージを一致させるのは難しいことです。ほしい人材の要件を採用代行会社が、社長からのヒアリングや文章で理解しても、社員間の雰囲気や空気感までを理解するのは外部の会社では限界があります。

日本企業の場合は、言葉で表されていない部分も読み解く必要があり、ポイントポイントで共有される情報だけでは、イメージを一致させるのが非常に困難です。

採用活動が失敗したときの責任をだれがとるのか

成果報酬型の代行サービスならともかく代行会社も採用責任までを負うのはリスクがあります。ゆえに採用する、しないといった最終判断まで請負うことは不可能です。

社員と同じように依頼主は直接指示できない

社員と違い、採用代行会社に契約外の依頼ができません。さらに運用者に対して依頼主は直接あれこれと指示はできません。してしまうと偽装請負といった違法行為になります。

例えば、急に転職イベントに参加することになり、代行会社に契約外の準備や運営を依頼することや、急な仕事が入ったので代行会社の実務者に残業の指示をだすことはできません。

これらを行う場合は、別途個別契約を都度締結するか、代行会社の窓口担当(営業や運用責任者)に相談し契約の範囲内で対応できるかを判断してもらう必要があります。

急な仕事や変更があり実務者に直接指示したり、柔軟に対応するよう要望することは外注(業務委託)では難しい場合があります。

採用業務以外のことを依頼できない

採用業務だけだと依頼する量が少ないから契約にはない採用以外の給与計算や勤怠管理、経費精算を依頼することはできません。

現実的に採用業務や給与計算、勤怠管理といった業務も同時できる採用代行会社は実際ほぼありません。たとえ会社として採用含めて人事業務全般をサービス提供していても人員と体制は別で、費用はそれぞれのサービスで請求されることが多いでしょう。(一部、マルチに対応できる代行会社もあります)

指定する場所に常駐し執務してもらえない

オフィス等にチームを組んで常駐可能な採用代行会社もありますが、基本的にはリモート対応か説明会等の運営で一時的に現場訪問してくれるタイプのサービス提供している採用代行会社が多いです。

常駐ができる場合は、常駐する人員数分のチャージ量や管理費が発生するため派遣社員やパート社員を雇うよりも割高になります。

以上のような理由で採用業務全てを外注することは現実的には難しく、請らける採用代行会社も少数です。

面接調整や合否連絡といった事務のみ、説明会運営だけ、応募者を集めるだけといった部分的な外注が最も現実的であるといえます。

採用を外注しやすいケースとは

採用代行の活用は、部分的な業務とは別の視点で次に挙げるケースの場合でも効果的です。

  • 新卒採用などの時期集中型
  • パートアルバイトなど常時採用型
    ※チェーンストア系で店長の負担を減らしたい
  • 中途採用大量採用型
  • 複数の媒体を使っており応募者の名寄せが大変
  • 応募が多くスクリーニングに苦労している
  • 採用マーケティングに挑戦したい

基本は、「定常的に同じような業務が発生する」「期間限定であっても数か月から半年の依頼になる」「業務量が多い」「社内にノウハウがないため費用かけても外注したい意志がある」がポイントになります。

主な採用代行会社

有名な採用代行会社は以下になります。

レジェンダ・コーポレーション株式会社

採用アウトソーシングといえばレジェンダ・コーポレーションです。業務代行だけはなく老舗ならではのノウハウを活かしたコンサルティングやシステム構築もサービス提供しています。

https://www.leggenda.co.jp/

株式会社トライアンフ

レジェンダ・コーポレーションとならぶ老舗の1社です。労務関連もサービス提供しており、人事領域全般の代行につよみがあります。

https://www.triumph98.com/

株式会社キャリマート

採用代行の会社の中でもいち早くRPA(Robotic Process Automation)を活用したサービスを開始し、採用業務の自動化・効率化を進めた会社です。大量にある定型的な作業を効率化したい場合はおすすめです。

https://www.careermart.co.jp/

株式会社ネオキャリア

グループ全体で、採用代行から人材紹介や人材派遣、HR-Techなど人事領域を総合的にサービス提供している会社です。大手だけではなく中小企業にも対応できる会社です。

https://www.neo-career.co.jp/

株式会社キャスター

もとはリモートでの事務代行を請負う会社です。採用も同様リモートを活用したサービス提供が特長で地域を問わず採用支援が可能です。

https://recruiting.cast-er.com/

その他、新卒等で有名なメディアを運営している会社が採用代行も提供しています。活用している求人メディアによっては同じ会社に依頼するのも有効です。

自社に足りないところを支援してもらうことからスタート

社員採用は、自社の従業員が担当すべきです。
とはいえ「当社は他の会社や業界と違うから」精神論で社員に頑張らせるのも違っています。

採用の外注は、自社の人員や時間、ノウハウ面で足りないところを補ってもらうことから検討するのがベストです。

専門の採用代行会社に依頼すると費用が高いと感じるようであれば、フリーランスやリモートワーカーへの依頼も選択肢として入れるのもよいでしょう。

今回、採用の外注について若干ネガティブな解説が多くなりましたが、ほかのWebメディアや採用代行会社の営業マンの話でメリットを理解し、本記事でデメリットの部分を補完することで採用代行をどう有効に使えるか判断していただけると幸いです。

依頼主側が、自社と採用代行会社それぞれの役割を整理し、採用業務を外注できれば、効率化・コスト削減といった効果がはっきりと見込めます。

また採用のプロフェッショナルである会社のノウハウや知識を借りることは、自社内で苦労しつづけるよりは圧倒的に採用成功にたどり着く時間が短縮されます。

 

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