
人手不足倒産にならないために!人手不足倒産の原因と対策を徹底解説
労働人口が減少している現代では、多くの企業が人手不足によって倒産の危機に直面している状況です。
実際に倒産まで追い込まれた会社は多く存在しますが、それらのデータを確認することで、倒産に至る傾向がわかります。
そこで今回は、人手不足倒産を防ぐため、データをもとに現状を把握しながら対策について解説していきます。
この記事の目次
人手不足倒産の現状
人手不足倒産の現状について、東京商工リサーチのデータをもとに説明します。
人手不足倒産の現状とは
人手不足倒産とは、事業としての利益が出ているにも関わらず人手不足が原因で経営を維持できず倒産することです。
2020年10月度のデータでは、「人手不足」に関連して倒産した会社は28件ありました。
倒産の内訳は以下になります。
・後継者の問題:23件
・幹部や中核社員などの退職:4件
・人件費の圧迫:1件
件数としては前年の10月よりも28.2%減少しており、以前は6件あった新たな人材確保の問題が今回は3年2ヶ月ぶりの0件となっています。
データを確認すると人手不足による倒産は改善しているようにも見えますが、実は人手不足の根本が解決されたわけではありません。
減少の背景には、新型コロナウイルスの影響によって事業を縮小したり、人材の移動をしたりと、売上が縮小したことへの対策があり、その結果として一時的に人手不足が緩和した状態なのです。
人手不足倒産の理由として最も多い「後継者が確保できない」問題は、コロナ禍であってもほとんど減少していません。
新型コロナウイルスが収束すれば再び人手不足倒産が増える可能性が大きく、今のうちに潜在的な人材(タレント)を確保しておくことが重要です。
業種別、地域別、要因別に見た人手不足倒産
東京商工リサーチが出している2020年と2019年の1月から10月までのデータをもとに、それぞれ以下の表にまとめました。
業種別の件数
業種 |
2020年1月〜10月 |
2019年1月〜10月 |
サービス業 | 92件 | 99件 |
建設業 | 79件 | 62件 |
卸売業 | 58件 | 37件 |
製造業 | 57件 | 36件 |
小売業 | 42件 | 38件 |
運輸業 | 22件 | 30件 |
不動産業 | 15件 | 17件 |
情報通信業 | 15件 | 12件 |
業種の中ではサービス業の件数が最も多く、連続して人手不足倒産が続いている状況です。反対に運輸業は減少しており、コロナ禍で旅客関係の事業縮小の影響が考えられます。
地域別の件数
地域 |
2020年1月〜10月 |
2019年1月〜10月 |
関東 | 147件 | 124件 |
近畿 | 52件 | 46件 |
九州 | 53件 | 55件 |
中国 | 34件 | 21件 |
中部 | 32件 | 35件 |
東北 | 27件 | 24件 |
北海道 | 23件 | 14件 |
四国 | 11件 | 13件 |
北陸 | 9件 | 4件 |
地域別の倒産件数は関東地方が突出して多くなっていますが、もともとの企業の数や人口の多さとも関係しているでしょう。
ただし、九州や中部地方のように減少している地域もあることから、都心部の人手不足がより深刻だともいえます。
要因別の件数
要因 |
2020年1月〜10月 |
2019年1月〜10月 |
後継者の問題 | 301件 | 204件 |
幹部や中核社員などの退職 | 37件 | 38件 |
新たな人材確保の問題 | 32件 | 67件 |
人件費の圧迫 | 18件 | 27件 |
合計 | 388件 | 336件 |
コロナ禍で減少している要因がほとんどですが、後継者がいないことで倒産する会社が非常に多く、前年度よりも大幅な増加が見られました。そのため、合計値が大きく増える結果となっています。
人手不足倒産が起こる主な原因
人手不足倒産が起こる原因について解説します。
少子高齢化による人口減少
現代は少子高齢化により、以前と比べて人口が減少しています。総務省の調査では、2008年を境に日本の総人口は年々減少しており、2060年には総人口が9,000万人まで減少するといわれています。
このことから企業の業績が伸びている場合でも、仕事を遂行する社員が不足していることから、労働力が不十分になり、最終的には倒産に至ると考えられます。
また、人口の減少に伴い採用難となる企業も続出しているでしょう。特に従業員が少ない企業では、少人数で高いパフォーマンスを出すために優秀な人材を求めすぎていませんか。
求める人材を慎重に定めて、条件に満たさずとも社内で育成を実施するなどの体制も整えましょう。
人件費高騰
人手不足の中、十分な人材を得るためには、競合よりも給料を高く設定している企業も多く存在しています。人件費の捻出と企業利益を維持させるバランスは非常に難しく、対応ができずに倒産する会社が増加しています。
主要な従業員の退職
雇用が売り手市場となっていることもあり、労働者側にはさまざまな働き方や考え方の選択肢が増えています。
過去では同じ会社に勤めることが当たり前でしたが、現在は転職で自身の条件や希望に合う仕事を探す方が多くなりました。
同じ会社で働き続ける人が減り、主要な従業員の退職が重なることも増えたことで、事業を維持できず倒産する企業が増えています。
また、採用した社員が早期離職しやすくなっていることも、人手不足につながる大きな問題です。
これらのように、人手不足倒産の原因を見ていくことで、今後の採用課題が浮き彫りになってきます。
人手不足倒産の対策方法
人手不足倒産を回避するための方法について紹介します。
人材の定着と育成を考える
新たな人材の確保も大事ですが、まずは今いる社員の定着と育成を考えることが重要です。
人手不足だからといって、無理な長時間労働や仕事量が続いているような状況では、現在勤めている従業員も離れてしまう可能性があります。
離職につながる原因を探り、労働環境を整えるなどして問題を解消しておくことで、社員の定着にもつながります。
また、研修などを増やして人材を育成し、個々の能力を高めておくことも大切です。そうすることで、いざ人材不足になった際に一定期間事業が回せるため倒産のリスクが軽減します。
人材をいつでも採用できる体制を構築しておく
人手不足になってから人材を探していては、採用が間に合わずに手遅れになることもあります。会社が求めるような人材がすぐに見つかるとは限りません。
そこで、普段から人材をいつでも採用できる体制を構築しておく必要があります。よりスムーズな採用活動には採用管理システムの活用がおすすめです。
その中でも、TalentClip(タレントクリップ)を利用するとタレント(応募者)をデータベース化できるため、会社のフェーズや状況に応じて最適な人材へアプローチすることができます。
人手不足倒産の対策をお考えの方はぜひご検討ください。
まとめ
人手不足倒産は、近年多くの会社が直面している問題であり、人口減少や人件費高騰などに合わせた対策が必要です。
対策には人材が定着できるような環境を整えることが重要で、離職につながりやすい原因を取り除いた上で、迅速に採用活動ができる体制にしておかなければなりません。
人手が足りずに採用業務が負担になる場合は、採用管理システムのようなツールを活用することで業務の効率化が図れます。