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採用稟議書って何に必要?若手人事のための採用稟議書の書き方

2023年3月2日

社内決裁を取る(稟議を通す)ことは、企業の採用活動のなかでも重要な工程です。稟議には、採用担当者が社内の合意を得るための書類である「採用稟議書」を書かなくてはなりません。

しかし、稟議書の作成は通常の書類とは根本的に異なります。

特に採用担当者になったばかりの方には、稟議書の書き方や書く際のポイントがわからない方もいることでしょう。そこで本記事は採用担当者の方に向けて、採用稟議書の概要や書き方、書く際のポイントや注意点を紹介します。

採用稟議書とは?どんなときに必要?

採用稟議書とは何か、どんなときに必要かを紹介します。

採用稟議書とは

採用稟議書は、採用担当者の権限が及ばない事項や、上位者の決裁が必要な事項を決定する「稟議」が行われる際に必要な書類です。

稟議は組織の上下関係を重んじる日本ならではのシステムで、会議の手間を省ける点から、現代でも重要な意思決定に用いられます。

採用稟議書はこうした稟議の際、役員などの上位者に稟議の内容を詳細に共有する役割があります。

採用稟議書を書く際の注意点

一般的に採用稟議書は、社内で用意されたフォーマットを使って作成します。フォーマットが存在しない場合は、汎用の稟議書を使ったり採用担当者が作成したりする必要があります。

作成時は、採用稟議書の記載内容に注意しましょう。

採用稟議書は社内の承認を得るための書類なので、経営者や配属予定部門などが求める情報を記載する必要があります。

採用稟議書のフォーマットがない場合は、稟議に必要な内容を把握したうえで新規に作成するか、採用稟議に上げる際の必須項目を設けるなどの工夫が必要です。

採用稟議書が必要なケース

採用活動のなかで採用稟議書が必要になるケースは、「人材募集」と「採用決定」のふたつが一般的です。それぞれの稟議で必要な内容について、詳しく紹介します。

人材募集のための稟議

人材を募集する際の稟議では、人材採用にかかるコストの妥当性を判断します。

たとえば求人メディアに求人の掲載を出したり、ダイレクトリクルーティングを利用したりする際は広告料やサービス利用料が必要なので、契約前に決裁が必要です。

また、採用コストには費用以外にも、人的コスト(工数)も含まれます。社員の協力を得るためには、決裁者に資金と工数の両面から判断してもらいましょう。

採用決定のための稟議

採用決定時の稟議は、どの人材に内定を出すか、どの部署で受け入れるかの承認作業です。人材一人ひとりに対して採用条件をクリアしているか、給与や待遇をどう設定するかを確認したうえで、各部署に通知を行います。

稟議を行うのは、誤った内定通知を出して損失を出すリスクを避けて、人材の情報を共有して入社後の認識のズレを防ぐためです。決裁者や配属先の部署の合意を得たうえで、関係者に受け入れ準備を進めてもらいます。

採用稟議書の書き方

ここからは具体的な採用通知書の書き方を、「人材募集」と「採用決定」のふたつのケースに分けて紹介します。記載項目や文例のほか、項目が必要な理由も併記していますので、採用稟議書を作る際に参考にしてみてください。

書き方1.人材募集のための稟議書

決裁の担当者から採用コストに納得してもらうためには、採用稟議書に採用計画の全体像を示すことが大切です。具体的には、以下のような項目を提示しましょう。

・採用目標(どの人材を、いつ、どの部署に配属するか)
・採用の背景
・人材の要件
・募集手段と選定理由
・採用コストの概算と詳細

上記の内容を踏まえた例を作成すると、以下のようになります。

・採用目標
期日:2022年3月末日
採用部門:営業部
人数:2名

・採用の背景
事業計画の売上目標の達成を考慮し、大阪でメンバー2名の増員が必要と判断。

・人材の要件
営業経験必須、業界不問

・募集手段と選定理由
転職メディアAを活用。(4週掲載で100万円)

・採用コストの概算と詳細
採用コスト概算:200万円

書き方2.採用決定のための稟議書

採用決定の際の稟議では、最終選考を通過した人材の情報や、その人材の給与や待遇、入社時期などを決定します。稟議に必要な項目は、以下のとおりです。

・人材情報(職歴、資格など)
・合格の理由
・勤務条件(雇用形態、給与・待遇、勤務地)
・入社時期

実際に稟議書に起こすと、以下のような内容になります。

・人材情報
氏名:田中太郎(29歳)
前職:○○機械株式会社 営業部

・合格の理由
前職での営業経験があり、特性を熟知している

・転職理由
当社の志望理由に一貫性があり、前向きである
課長補佐の勤務経験から、将来のリーダー候補として期待できる

・勤務条件
所属:営業部 営業2課
勤務地:大阪支社
勤務時間:9:00~18:00(休憩60分)
初年度年棒額:500万円
該当する手当:住宅手当、交通費手当

・入社時期
2022年6月1日

採用稟議書が通らない?作成のポイント

採用稟議書は多くの人の目に触れる書類なので、書き直しを求められたり承認が進まなかったりすることも考えられます。

失敗を避けるためには、以下のポイントを踏まえて稟議書を作成してみましょう。

漏れなく重複なく作成する

採用稟議書は、必要な情報を過不足なく伝えることが大切です。フォーマットによって細かい記載内容は異なりますが、以下の5つの項目は必ず入れましょう。

・実行の目的や目標
・申請理由と背景
・承認してほしい契約内容
・得られるメリットやリターン
・想定されるリスクやデメリット

特に稟議書に修正指示が出た場合は、背景や採用理由の説明不足であることが多いです。採用稟議書は自分の所属部署以外の人にも確認してもらうため、当たり前と思っていることも詳細に記載する必要があります。

読み手を意識して作成する

採用稟議書は、多くの人に回覧される文書です。内容を詳しく説明するため文章を長くダラダラと書いてしまうと読みづらく、意味が伝わりづらいので避けましょう。

また、補足説明が必要な専門用語を多用するのも、読み手のことを考えていない文章と受け取られるおそれがあります。

また、本筋と関係ないデータを掲載するのもNGです。集めた情報をきちんと共有するのは良いのですが、あまり情報が多すぎると論点が不明瞭になります。採用稟議書には説得力のある情報だけを選択して、掲載するようにしましょう。

まとめ

採用活動を行う際、担当者の権限を超えた決裁が必要な場合は、社内稟議を通すことがあります。この際に提出する書類が「採用稟議書」です。

採用稟議書の作成が必要なケースは、大きく人材募集と採用決定の2パターンに分けられます。それぞれの場合において、必要な情報を過不足なく掲載しましょう。

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