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OJT研修とは?具体的なやり方を4つの手順で解説

2023年2月28日

新入社員の入社や異動が増える時期に耳にすることが多い「OJT研修」ですが、具体的には何をする研修なのかご存知でしょうか。「聞いたことはあるけど、どんな研修なのか良くわかっていない」という方もいるでしょう。

そこで今回は、OJT研修の概要やメリット・デメリット、効果的なOJT研修の方法について解説します。

OJT研修とは?

OJT研修とは「On The Job Training」の略称で、社内で実務に取り組みながら、業務に必要な知識・スキルを身につける研修のことです。先輩の営業に同行したり、上司の指導のもと接客や架電をしたりする教育は、OJT研修の一環といえるでしょう。

OJT研修では、上司や先輩社員が教育担当者になるケースが多いですが、企業によってはOJTトレーナーなどの教育専門担当者がいることもあります。

なお、ビジネスマナー講習や外部企業主催のセミナーといった、実務を伴わない座学や研修は「Off-JT研修」と呼ばれます。

OJT研修で得られる3つのメリット

「わざわざOJT研修をしなくても業務は教えられるだろう」と考える方もいるかもしれません。しかし、OJT研修を行うことには、教えられる側の新入社員と教える側の先輩社員や上司の両方にメリットがあるのです。

新入社員の早期戦力化

OJT研修で得られる大きなメリットが、新入社員の早期戦力化です。

実務を介さないOff-JT研修では、体系的な知識やスキルを学ぶため、学んだことを応用して実務に活用することが求められます。インプットした内容をうまく活用できなければ、なかなか実務での効果を得られないことも事実です。

一方、上司や先輩社員から指導を受けるOJT研修では、新入社員の配属先や実際の業務に合わせた独自のカリキュラムを組めるため、実践的な学びが得られます。アウトプットの機会があることからスキルが定着しやすく、戦力となる人材を短期で育てられることもメリットのひとつです。

リーダー・管理職の育成

OJT研修は、リーダー・管理職の育成にも役立ちます。指導者として新入社員に業務を教えたり、フィードバックしたりすることで、自然と育成スキルが身に付けることができます。

研修期間終了日までに新人を育て上げるには、いつレベルまで達しているべきかの中間目標も設定しておかなければなりません。それをもとに逆算して具体的な計画を立て、進捗を管理していく必要があるため、マネジメント能力もアップするでしょう。

また、指導される側から指導する側へと立場が変わると、これまでとは違う視点で物事を見るようになるため、新たな気づき・発見を得られることがあります。

さらに、新入社員が理解できるように指導するには、これまで曖昧だったルールや感覚的なスキルも明確に言語化しておかなければなりません。どんな質問にも対応できるよう、業務について再度より深く学ぶ必要もあるでしょう。これまで携わってきた仕事を見直し、詳細まで理解する機会が得られるため、プレイヤーとしてのスキルアップも期待できます。

人間関係の構築

OJT研修は、社内の人間関係の構築にも役立ちます。

基本的に、新入社員が先輩社員や上司に自ら話しかけるのは勇気が要るものです。ずっと話しかけるタイミングを見計らい続けていたり、誰に質問したら良いのかわからなかったりして、1人で悩んでいることもあります。この状態が長引けば、不安に押しつぶされて早期退職につながるかもしれません。

OJT研修があれば、指導者にあたる上司や先輩社員と定期的に話す機会が得られます。新入社員と先輩社員のコミュニケーションが活発になり、業務上の悩みを相談してくれるようになるかもしれません。ストレスを抱え込み、早期退職するような事態も防げるでしょう。

また、良好な人間関係が構築できれば、帰属意識の向上やモチベーション維持も期待できます。スキル面だけでなく、ひとり一人の仕事に対する熱量が高まったことで、組織全体の生産性に良い影響を与えることもあるでしょう。

OJT研修で生じる3つのデメリット

新入社員の早期戦力化やリーダー・管理職の育成などに役立つOJT研修ですが、いくつかデメリットもあります。

せっかくのOJT研修が失敗に終わることを防ぐためにも、デメリットを理解して対策を考えておきましょう。

汎用的なスキルの習得には向いていない

OJT研修は体系的な教育ではないため、汎用的なスキルは習得できません。OJT研修で新入社員が身に付けられるのは、実務に関するルールや知識、スキルに限られます。

また、研修期間中にすべての業務を経験できるとは限らないため、OJT研修だけで業務全体の流れを把握してもらうことが難しいケースも多いです。OJT研修が不十分なまま終わってしまった場合は、別途研修を行うなどして知識を補完する必要があります。

OJT担当者の負担が増える

OJT研修を行うと、担当者となった社員の負担が増えるデメリットもあります。

OJT研修の選任担当者がいれば、指導者としてのスキルや知識を見つけるための準備を十分に行えるでしょう。しかし、
実際は人手や予算などのリソースが足りず、担当者を兼務で担う可能性が高いです。

その場合、自身の通常業務と並行してOJT研修を行うことになるので、大きな負担がかかります。OJT研修のために本来の業務に支障が出たり、担当者が体調を崩したりすることがないように、サポート体制を整えておくことが重要です。

担当者によって質に差が生じる

担当者によって質に差が生じやすいことも、OJT研修のデメリットです。OJT研修の担当者には、指導力やマネジメント力が求められますが、これらのスキルが全ての社員に十分に備わっているとはいえません。

もともと指導・管理が得意な人もいれば、経験を積んで身につく人、人の指導・管理が苦手な人もいます。このなかのどのタイプの人が担当者になるかによって、OJT研修のクオリティが変わるため、成果に差が出てしまうのです。

効果的なOJT研修を実現する方法

より効果的なOJT研修を実現するために、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

新入社員の特性を把握する

OJT研修の担当者のスキルや知識にバラつきがあるのと同様に、新入社員のスキルや知識にもバラつきがあります。効果的なOJT研修を目指すなら、新入社員の特性を把握し、特性に合った内容の研修を行いましょう。

新入社員のスキルや知識にそぐわない内容の研修では、内容が理解できなかったり、不信感を抱かせてしまう原因になったりして、モチベーションの低下につながる可能性があります。

OJT担当者のスキルをそろえる

OJT担当者によってクオリティにバラつきが出るのを防ぐために、担当者のスキルをそろえることも大切です。OJT担当者向けの研修を実施するなどして、一定のクオリティを担保するための環境を整えておきましょう。

そのほか、担当者同士で情報交換を行う機会を設ける、複数の担当者でローテーションするなど、OJT研修の質を標準化する仕組みを考えることも重要です。

会社全体でOJTに取り組む

会社全体でOJT研修に取り組むことも、効果的なOJT研修を実現するための重要なポイントです。

綿密にスケジュールを組んでも、予定どおりに研修が進まないことがあります。また、通常業務と並行してのOJT研修は、負担が大きいものです。

OJT担当者の負担を軽減するサポート体制を整えたり、予定どおりに指導が進まないときの別プランを考えておいたりと、社内全体で環境を整備しておきましょう。

OJT研修を行う際の4つの手順

効果的なOJT研修を実施するには、「Show」「Tell」「Do」「Check」の手順に沿って研修を行うことも大切です。各手順の詳細について、下記にてくわしく解説します。

STEP1.<Show>やってみせる

OJT研修の最初の工程は「Show」、つまりこれから教える業務を担当者がやってみせて、全体像を理解してもらうことです。

口頭で説明するだけでは具体的にイメージできないので、OJT担当者が実際に電話をかける、パソコンを使って作業するなど、手本を見せるようにしましょう。

STEP2.<Tell>説明・解説する

続いて、今見本を見せた業務について、説明・解説します。ただ流れを説明するのではなく、なぜこの手順で作業したのか、どうしてこの作業を行うのかなど、目的や背景まで理解してもらうことが大切です。

内容を理解できないまま研修が進むのを避けるために、こまめに不明点や疑問点がないかを確認しましょう。

STEP3.<Do>やらせてみる

業務の説明・解説を終えたら、実際にその業務をさせてみましょう。これにより、本当に業務について理解できているかどうかが確認できます。

1回教えただけでは完璧にできないことも多いので、慣れるまでは放置せずに見守ることが大切です。

STEP4.<Check>評価・指導する

最後にDOでやらせてみた業務について、フィードバックを行います。できていなかった点を指摘するだけでなく、うまくできていた点をほめることも忘れないようにしましょう。

できていなかった点については、「どうして失敗が起きたのか」「今後同じことが発生したとき、どうすれば改善するのか」「今後同じことが起きないようにするにはどうすればいいか」を具体的に解説することが重要です。

そして、現時点での評価をもとに今後の指導計画を立て、目標のレベルに達するまで「Show」から「Check」までのサイクルを繰り返します。

まとめ

OJT研修は、新入社員や新たに配属されてきた社員に、実践的なスキルや知識をつけるのに役立ちます。指導者を担う既存社員の育成スキルやマネジメント能力も向上するでしょう。

もしOJT研修を行っていないなら、担当者の負担を軽減する環境を整えたうえで、導入してみてはいかがでしょうか。

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