
人材データベースとは?構築する目的や導入のポイントについて解説!
少子高齢化や個人のキャリア観の変化など、企業を取り巻く環境は変化しつつあります。そして2020年9月に『人材版伊藤レポート』が公表されたことで、人材に関する注目度は一層高まりました。人材版伊藤レポートとは、「人的資本経営の実現に向けた検討会」(経済産業省)について、伊藤邦雄氏がとりまとめたレポートのことです。企業においても人的資本に関する課題が認識されつつあります。
この記事では、人的資本経営の実現に欠かせない人材データベースの概要や、導入のポイントについて解説します。
この記事の目次
人材データベースとは
人材データベースとは、人材に紐づいている情報全般(人材データ)をまとめて可視化したものを指します。具体的には社員の基本情報や保有スキル、人事評価などのデータです。
従来は、人材データを紙のファイルで保管するのが主流でした。現在はIT化が進んだこともあり、膨大な人材データをデータベース化して情報の閲覧や共有、分析を容易にしています。
人材データベースを活用すれば人事施策を充実させることや、ビジネスチャンスを拡大させることも可能です。
人材データベースを構築する目的
人材データベースを有効活用するために、目的を明確にしておきましょう。人材データベースを構築する目的は主に3つあります。
人的資源を管理するため
少子高齢化が進み人材の確保が難しいなか、限られた人的資源の管理は重要です。人材を採用するにも膨大な費用と時間がかかります。在籍する社員がどこに配置されているか把握し、人材の運用を効率化するためには人材データベースが欠かせません。
適正配置を実現させるため
人材データベースを構築することで、社員のスキルや資格、パフォーマンスなどを把握できます。能力に応じた適材適所の人材配置ができれば、業務効率化や社員のモチベーションアップが図れます。
また配置前後で成績の比較・分析を行えば、さらに精度の高い人材配置が可能となるでしょう。
優秀な人材を育成するため
企業の成長を加速させるためには、優秀な人材が欠かせません。企業にとって有益な人材を確保するには、成果を出しやすくするための仕組みを作る必要があります。人材データを活用すれば、社員の適正に沿ったキャリアプランが組めるようになり、スキルの向上を図ることができます。
また、適正配置が実現できれば、個々の能力を引き出すことにつながり、優秀な人材へと育てることも可能でしょう。
適切な人事評価をするため
社員の働く意欲を上げるためには、適切な人事評価が重要です。自分の頑張りが正しく評価されれば、社員は仕事にやりがいを感じられるようになります。
また、適切な評価で労使間の信頼関係を構築することは、定着率アップにもつながるでしょう。
人材データベースを活用することで、客観的な評価が可能となります。人事評価の時短・効率化にも役立つため、担当者の負担を大幅に軽減できる点も魅力です。
人材データベースに登録する主な項目
人材データベースにはどのような情報を登録したら良いのでしょうか。ここでは登録すべき項目を6つ紹介します。
基本属性
まずは氏名や役職など、人材の基本属性を登録しましょう。具体的には以下の項目です。
・氏名
・生年月日
・性別
・住所
・入社年月日
・所属
・役職
・等級
基本属性を正確に登録しないと、データの検索や抽出が困難になるおそれがあります。基本属性はきちんと管理し、情報が変わった場合は都度更新しましょう。
経歴・実績
社員の実績や経歴を知ることは適正な人員配置に欠かせません。具体的には以下の項目です。
・学歴
・職歴
・所属履歴
・研修受講履歴
・上司、部下履歴
・評価履歴
・成果
・受賞、表彰歴
社員一人ひとりの、入社前から現在に至るまでの情報を正確に登録しましょう。
勤怠
勤怠情報の登録は従業員の働き方や勤務態度をチェックするために重要です。具体的には以下の項目を登録します。
・残業時間
・入室時間、退室時間
・遅刻
・早退
・欠勤
上記の勤怠情報を登録することで、企業の生産率や人材定着率を測る際にも役立ちます。
スキル・資格
社員の保有資格やスキルを知ることで適正配置が可能となります。また「どのスキルが足りないか」が容易に分かるため、人材教育に役立つのも魅力です。具体的には以下の項目を登録します。
・保有資格
・語学力
・スキルレベル
社員一人ひとりのスキルを登録するのは手間がかかります。しかし、登録すれば企業の生産性アップにつながるため、可能な限り登録しましょう。
マインド
マインドは社員の考え方や性格、モチベーションに該当する部分です。企業が成長するためには、社員にモチベーションを高く保ったまま働いてもらう必要があります。
人材データベースに社員のマインドを登録して分析することで、企業の生産性向上や離職防止に活かせるでしょう。具体的には以下の項目です。
・キャリア志向
・適性検査の結果
・従業員満足度の結果
・エンゲージメントサーベイの結果
・面談履歴
・上司によるメモ
近年では社員のマインドを調査できるアンケートツールやシステムもあるため、うまく活用して情報を登録していくとよいでしょう。
職務内容
適正配置には、社員の職務内容を把握する必要があります。具体的には以下の項目です。
・ミッション
・目標
・業務内容
直属の上司や同僚であれば、社員の業務を知ることは可能ですが、人事や上層部が知ることは難しいものです。人材データベースに職務内容を登録し、可視化することで社員それぞれが「何をしているのか」を共有できます。
人材データベースを導入するときのポイント
人材データベースの構築にはそれなりに時間や手間がかかります。「導入したのに効果的に活用できなかった」とならないよう、ここで紹介するポイントを押さえておきましょう。
目的を明確にする
見切り発車で人材データベースの構築を始めても、どのようなデータが必要で、どう分析をすればよいのか分からず迷走してしまうことも少なくありません。人材データベースを活用する目的を定めることで、必要なデータや機能が分かります。
目的を整理するために、「トップダウン」「ボトムアップ」のアプローチを参考にすると良いでしょう。
ボトムアップは現場からの意見や提案を集約させ、人材データベースに活用するアプローチです。主に業務課題の改善に役立ちます。
トップダウンは企業の上層部による「中期経営戦略」「事業戦略」などをもとにした人事戦略を人材データベースに活用するアプローチです。
企業運営における意思決定はトップダウンが主流ですが、ボトムアップは社員の満足度向上やモチベーションアップに有効です。
最初から完璧を目指さない
人材データベースに登録すべき情報は膨大です。最初から多くの項目をデータベース化しようとすると時間がかかり、本業に影響が出てしまいます。
そのため、完璧を目指すのではなく、必要最小限のデータからコツコツとスタートすると良いでしょう。
まとめ
人材データベースは人材に関する情報全般(人材データ)をまとめて可視化したもので、優秀な人材の育成や適正配置の実現に役立ちます。
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