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採用基準の設定が重要である理由|ポイントと注意点も紹介

2021年10月11日

採用基準とは、自社に必要な人材を確保するために設けられた、採用に関する指標のことを指します。

人材を採用するか否かの判断に時間がかかっている場合、採用基準が明確になっていないのかもしれません。応募者を評価する基準を設けることで、それに照らし合わせてスムーズに決断することができます。

今回は、採用基準の中でももっとも重要な3つのポイントについてまとめました。採用基準を作るメリットや準備についても説明していますので、ぜひ参考にしてください。

採用基準の設定が重要である理由

社内で統一した採用基準を作るには、ある程度の時間が必要です。しかし、明確な採用基準を作ることで、社内全体に大きなメリットがあります。

この項では、採用基準の設定が重要である理由について説明します。

効率的な採用活動ができる

採用基準は、会社がどのような人材を求めているのかを明確にするためのものです。

求める人物像を漠然としたイメージではなく明文化することで、採用に関わる社員全体で認識を統一することができます。

この効果は、面接官が複数であるほど効果が高くなります。応募者一人に対して、採用するか否かを判断する時間が短縮できるため、採用活動の効率化につながるでしょう。

また、面接官それぞれの経験や考え、価値観などで採用を進めると、応募者にとって不公平な選考になることがあるかもしれません。公平に採用を進めるという点でも、メリットがあります。

採用後のミスマッチを防ぐことができる

採用の可否を判断するにあたって、採用基準があいまいだと「必要とされるスキルと応募者のもつスキルがずれている」「社風や理念に応募者の価値観が合わない」などの採用後のミスマッチが起こることがあります。

ミスマッチが起きると、費用と時間をかけて採用したにも関わらず、早期退職につながりかねません。

そうした事態を避けるためにも、採用基準が必要です。採用基準を明確にしておけば、自社に定着しやすい人材を見極めやすくなるでしょう。

採用基準を設定する流れ

ここまで、採用基準が重要な理由について確認してきました。ここからは、採用基準を設定する際の流れを解説していきます。

1.各部署に対してヒアリングを実施する

人事部でのイメージと現場がほしい人材のモデルが大きくかい離しないように、まず人材を配属する各部署でヒアリングを実施します。質問内容は、求めるスキルや経験、求める人物像などです。

得られた回答は、採用したい人材の要件定義に役立つため、必須事項、歓迎事項など、細かくわけてヒアリングを行うと良いでしょう。

求める人物像を経営戦略に落とし込み、実務で求められる人材を確保するためにも、各部署の役職者から現場で働く社員にまで、幅広くヒアリングを実施するのがおすすめです。

2.転職市場の調査を行う

とはいえ、社内で求める人物像を調査するだけでは、採用基準は十分に設定できません。加えて、外部調査を行うことも必要です。

ここでの外部調査とは、転職市場の状況やトレンドを把握することをいいます。転職市場全体だけでなく、属する業界の状況、職種の状況まで確認しておきましょう。

転職市場の調査を行うのは、採用基準を適切に設定するためです。たとえば、転職市場の競争が激しく人材を確保しにくい状況にあるとき、採用基準を狭めたい場合でも、その判断は慎重にしなければなりません。

転職市場の実態を把握し、採用基準を柔軟に設定しましょう。

3.人材の要件定義を行う

現場でのヒアリング内容、転職市場の状況など、あらゆる情報や要素をもとに採用すべき人材の要件定義を行います。

定義づけを行う際には、将来どのような役割を担う人材が必要かをイメージすることも重要です。集めた材料と比較しながら、どのような人物像が最適かを考え、設定していきましょう。

4.コンピテンシーモデルを作成する

コンピテンシーは、高い成果を上げる人材に共通するような行動特性を指します。つまり、ハイパフォーマンスにつながる行動や思考をいいます。

採用基準を具体化するには、このコンピテンシーをもとに作成したモデルを作成すると良いでしょう。自社で高い成果を出せる人材の要件について把握しておくことも、重要なステップです。

5.具体的なペルソナを設定する

要件定義やコンピテンシーモデルをもとに、どのような人を採用するのか、具体的なペルソナを設定します。ペルソナとは、ターゲットをさらに細かく分析した架空の人物像のことです。

具体的に採用したい人物像をイメージできるようにするためにも、スキルや就業経験だけではなく、ターゲットの性格や趣味、情報収集方法など、細かな部分まで設定します。

ペルソナを設定しておくと、採用したい人物像について社内で共通認識を持てるため、意思決定がしやすくなります。選考が複雑になるほど、応募者数が多いほど役に立つでしょう。

6.評価項目の決定を行う

ペルソナの設定までが終わったら、面接での評価項目を決めていきます。たとえば、スキルや経験、意欲、コミュニケーション能力、主体性などです。面接官がしっかり評価できるように、評価項目がわかるシートを作成しましょう。

すべての項目が高評価になるケースは多くないため、評価項目の決定と同時に、各項目の優先順位を決めておくと、評価がしやすくなります。

ここまでが、採用基準の作成手順になります。

ただし、中には、ステップによっては多大な時間がかかり、ほかの活動に影響を与えてしまうこともあります。手順を守って基準をつくるだけでなく、採用基準の作成を効率化することも必要です。

採用基準の作成には、独自のデータベース機能が搭載されているTalentClip(タレントクリップ)が役に立ちます。応募者のプロフィールや経歴などのデータを蓄積できるため、自社独自のデータをもとにペルソナ設定をスムーズに進めることができます。
また、求人票の作成機能や求人媒体への自動掲載も可能で、採用業務全体を最適化することが可能です。

TalentClipについての詳細は、以下よりお問い合わせください。

 

採用や求人に関しての情報がほしい場合は、以下のダウンロード資料も役立ちます。

採用基準設定のポイントや注意点

次に、採用基準を設定するときのポイントや注意点を解説していきます。

重要な3つの要素を具体的に言語化する

ヒアリングから評価項目の設定まで、採用基準を具体的に決めていく上で重要なのが言語化です。採用基準を構成する「性格タイプ」「スキル」「志向性」の3要素について言語化しておきましょう。

言語化すれば、関係者全員で、採用基準についての認識を共有しやすくなります。

性格タイプ

言語化について、具体的に見ていきましょう。性格タイプとは、採用したい人材の人間性に関わる部分をいいます。たとえば、以下のような項目です。

・チャレンジ精神のある人
・継続してコツコツと取り組める人
・指示されたことだけするのではなく主体的に動ける人

「チャレンジ精神がある人」について考えてみましょう。チャレンジ精神はどの場面で判断をするのか、具体的にイメージしにくいのではないでしょうか。

「言語化する」とは、だれもがイメージしやすいように文章や言葉で具体的に示すことです。

チャレンジ精神を求めている場合は、「これまでに高い目標をもって目標達成のために行動した経験がある人」のように、チャレンジ精神の高さをどこで判断するか、具体的に言語化します。

誰が見ても分かりやすい判断基準を設定することが重要です。

スキル

スキルとは、採用したい人物に求める学力や経験、思考力などのことです。

資格や経験など、だれもが明らかに判断できる部分については問題ありません。重要なのは、言語化が必要となる抽象的な要素です。

たとえば、コミュニケーション能力の高さを基準にするなら、「人の話を聞いたうえで発言できる人」「やわらかい表情でスムーズに会話ができる人」のように具体的に落とし込みましょう。

人によって判断が分かれることのないよう、細かく設定しておくことが重要です。

志向性

志向性とは、応募者が職場に求める潜在的な意識のことをいいます。会社の社風、人間関係、成長性、事業の社会貢献度などです。志向性は、カルチャーマッチした人材を採用するうえで重要な観点になります。

たとえば、勤続年数よりも個人の成果を重視するような社風であれば、企業選びにおいて「個人の能力を評価してくれる会社」を優先している応募者であれば、マッチしているといえるでしょう。

このように、学生の志向性についても具体的な言語で表現しておくことも役立ちます。

禁止されている採用基準に注意する

採用基準をあまりに細かく設定しすぎると、採用基準として禁止されている部分に抵触するおそれがあります。厚生労働省により、「応募者の適性や能力のみを基準として行うこと」と採用選考の定めがあるため、採用基準も遵守するようにしましょう。

たとえば、原則として、就職差別につながるような「年齢」「性別」「国籍」「居住地」「健康状態」は採用基準に含めてはなりません。

ほかにも、本人の採用に直接関わりのない「家族」「住宅」「生活や家庭環境」、選択の自由がある「宗教」「信条」「支持する政党」「社会運動」なども採用基準として不適切です。就職差別にならないよう、各項目の設定に配慮しましょう。

出典:公正な採用選考の基本|厚生労働省

まとめ

効率よく採用を進めるために、採用基準の有無や内容はとても重要です。採用基準を作ることで、求める人物像を社員間で共有しやすくなるほか、採用のミスマッチを防ぐことにもつながります。

採用基準の策定には時間も手間もかかりますが、その後の採用に関する業務をスムーズに進められるでしょう。今回の記事も参考にして、社内のニーズを把握し、採用基準の作成に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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