
採用マーケティングとは!メリットと成功させるためのポイント
近年、多くの企業が採用の分野において、マーケティングの手法を取り入れています。転職したい人(顕在層)だけでなく、転職するかもしれない人(潜在層)にもアプローチして採用へとつなげ、入社後までフォローする手法です。
なぜ採用マーケティングが必要とされているのか、どのような手順を踏んで行えば良いのかについて紹介します。
この記事の目次
採用マーケティングが注目されている3つの背景とは
まずは、採用マーケティングが注目されるきっかけとなった3つの背景を見てみましょう。
1.激化する採用市場
少子化による人手不足により、どの企業も人材の確保に苦労しています。新卒はもちろん転職市場でも同様です。特に、中小企業は大手企業に比べると知名度が低いことから、優秀な人材を逃してしまう傾向にあります。
これまでのように、求人広告を出して応募を待っているだけでは、いつまでも優秀な人材を確保できないでしょう。そのため、採用マーケティングを行って、早いうちから潜在層へのアプローチを行う必要があります。
2.IT技術の高度化、手法の多様化
IT技術の発達によって、採用においても自社だけで多彩なアプローチができるようになりました。例えば、自社サイトやブログ、SNSの活用などです。また、データの分析によって、客観的な数値をもとに効率的なアプローチも可能になりました。ATS(採用管理ツール)をはじめ、これらを支援するツールも増えています。
採用活動のIT化にともない、カスタマージャーニーやタレントプールなど、さまざまな手法も生み出されました。採用マーケティングを行わないと、すでに導入している他社に差をつけられてしまうかもしれません。
3.多様な価値観
求職者の価値観も大きく変化しており、自分が理想とする働き方を実現できる企業を探す傾向があります。やりがいを感じる、ワークライフバランスが取れている、自分の個性や能力を活かせるなど企業に求める条件は人それぞれです。
求職者が自社に興味を持ってくれるようにするには、魅力をアピールしなければいけません。そのためには、採用マーケティングで顕在層や潜在層の指向を分析し、自社についてどのような情報を求めているか、把握する必要があります。一方的に知って欲しい情報をアピールするだけでは不十分です。
採用マーケティングの5つの手順
採用マーケティングの必要性が分かったところで、どのように行えば良いのか、5つの手順を見てみましょう。
1.自社分析をする
まずは、自社の経営理念や社風、事業内容、商品、サービスなどを再確認し、どこが求職者へのアピールポイントになり、逆にどこが敬遠される要素になるか分析します。
自社の価値観だけで判断するのではなく、アンケートやインタビューなど外部の視点も必要です。リサーチ会社に依頼すると、より幅広く簡単に回答を集められるでしょう。
このように、自社を分析する手法は「SWOT分析」とも呼ばれており、アピールポイントを明確にする上で効果的です。
2.ペルソナを設定する
次に、企業が実際に採用したい人物像をペルソナとして設定します。必要とする人材の人間性やスキルはもちろん、先ほどの分析結果を元に、どのような求職者が自社に興味を持って、応募してくれるか考えてみましょう。
両者の共通点が、最終的に自社が必要として、かつ応募してくれる可能性が高いペルソナです。
3.ニーズを調べる
続いて、ペルソナがどのような企業や働き方を求めているのか、ニーズを調べます。あらためてアンケートやインタビューを行ったり、リサーチ会社の協力を仰いだりしても良いでしょう。
ニーズと現実が大きくかけ離れているのであれば、働き方や制度など社内体制の見直しが必要です。
4.効果的なアプローチ方法
アプローチの方法についても、考えなければいけません。どのようにアプローチすればペルソナが興味を持ってくれるか、タイミングや内容、媒体を決めましょう。
「ファネル」といって、プロセスごとに適切なアプローチを行う手法もあります。潜在層・顕在層から採用に至る過程で、候補者が絞られていく様子を図にすると「じょうご(funnel)」に見えるため、そう呼ばれている手法です。
5.施策の実施、改善を継続する
計画に基づいて実施したら、検証を行います。思惑どおりにならなかった部分については、次の採用活動に向けて改善しなければいけません。本当にペルソナへ届いて理解してもらえたのか、結果はもちろん、アンケートやインタビューも活用して検証しましょう。
以降は再度実施して検証を行い、改善するという繰り返しです。その過程で自社に合った採用方法も確立されるでしょう。
採用マーケティングを成功させたい!覚えておきたいポイント
最後に、採用マーケティングを成功させる上で、覚えておきたいポイントを紹介します。
魅力ある組織づくり
どんなに採用マーケティングの手法を駆使しても、自社の魅力が乏しければ、期待どおりに人材を集められません。先ほどの自社分析やペルソナのニーズに基づいて、魅力ある組織づくりをしましょう。
ただし、ニーズに合わせるあまり、自社が本来持つ良さまで損ねてしまうのは本末転倒です。あくまでも魅力を強調するのが先で、社内体制に敬遠される要素があれば、改善するという流れになります。
採用マーケティングの事例を確認
採用マーケティングの手法は数多く存在し、その中から適していると思われるものを、自社だけの判断で導入するのは難しいでしょう。
そんなとき参考になるのは、採用が成功している他社の事例です。業界誌やインターネットの記事などで紹介されています。これらを研究・分析して、活用できそうな部分は取り入れながら、自社なりのやり方を探ってみましょう。
データを使い採用活動を効率化!
採用マーケティングの助けとなるのがデータ分析です。客観的に判断できるため、より効率的なアプローチを行えます。信頼性の高い結果を導くには、できるだけリサーチを行い、応募者の情報など多くのデータを集めましょう。
ATSの一種である「TalentClip(タレントクリップ)」は、自社に興味がある人材(タレント)をデータベース化して、必要なときにアプローチできる機能が搭載されています。採用マーケティングでも、大いに活用できるでしょう。
まとめ
従来の方法では人材の確保が困難になる中、インターネットを活用したり、データを分析したりする採用マーケティングは重要性を増しています。
自社の分析やペルソナの設定を行い、アプローチの方法を決め、実施したら検証して改善するという流れです。企業の魅力を強調すると、多くの潜在層に興味を持たれるきっかけになるでしょう。