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リファラル採用を成功させるには?制度設計や運用のポイント

2021年11月11日

さまざまな社会的要因により、売り手市場の状況が続く業界は少なくありません。さらに、時間とコストをかけて採用した人材も、既存社員との相性が合わず、早期離職につながるケースも少なくないでしょう。

近年は、優秀な社員に長く在籍してもらうためにも、会社と人材のマッチングが重視されつつあります。人物重視で採用する方法は複数あげられますが、今回はリファラル採用制度について紹介します。

リファラル採用制度とは

会社が求める人材が見つからないときや、求人広告への応募が増えにくいときは、リファラル採用制度の活用がおすすめです。まずはリファラル採用とはどのような方法か、特徴や普及した背景を紹介します。

リファラル採用の概要

リファラル採用とは、自社ですでに勤務している社員に、新たな人材として友人や知人を紹介してもらう採用制度です。いわゆるコネ採用と混合されることがありますが、リファラル採用とは以下の点が異なります。

・リファラル採用:自社の基準を満たす人材を採用する
・コネ採用:自社の基準に満たさない人材も採用せざるを得ないことがある

コネ採用は社長や役員の知り合い、血縁者など本人の能力やスキルに関係なく採用する方法です。自社の採用基準を満たしていなかったり、企業理念にいっさい共感していなかったりと、必ずしも優秀な人材が入社するとは限りません。そのためコネ採用は、ネガティブな意味で使用されることが多い言葉です。

一方のリファラル採用は、社員からの紹介ですが必ず採用しなければならないわけではありません。自社の採用基準を満たした人材のみを採用できるため、優秀な人材を確保できるメリットがあります。

リファラル採用制度が普及した背景

最近は、リファラル採用制度を取り入れる企業が増えつつあります。リファラル採用制度が普及した背景として、従来の方法では自社が希望する人材や優秀な人材の確保が困難となったことがあげられます。

たとえば市場全体が人材不足であることや、社員の定着率が低く、長く在籍してほしい社員に限って流出してしまうことなどが主な理由です。実際にリファラル採用制度を導入している企業の中には、既存社員の定着率向上を目的としているところもあります。

日本国内の生産労働年齢人口は、少子高齢化や優秀な人材の外国流出など、さまざまな理由によって減少し続けています。自社に合う社員の採用や既存社員の定着につながる方法として、リファラル採用制度が注目を集めていることは、自然な流れともいえます。

リファラル採用を成功させるための制度設計

リファラル採用は、安易に取り入れるだけでは優秀な人材の確保にはつながりません。リファラル採用を社内に浸透させ、きちんと採用面で成果を出すためには、制度設計が重要です。

リファラル採用の制度設計で重視すべきポイントは、次の3つがあげられます。

1.リファラル採用の認識

リファラル採用は、その仕組みから、成功させるには社内を巻き込んでの実施が必要です。何のために実施し、何を実現したいのか目標を定め、社内でリファラル採用の明確な位置付けを行いましょう

社内でリファラル採用制度の認知を高めるためには、複数回周知する必要があります。定期的にメールで発信するだけではなく、説明会やプレゼンも行い、コネ採用との違いやリファラル採用ならではのメリットを既存社員に把握してもらい、納得させることが重要です。

また、リファラル採用はすぐに効果を期待できるものではありません。中~長期的な施策として認識し、成功にはマイルストーンの達成が重要であることについても伝えておきましょう。

2.インセンティブの決定

リファラル採用にインセンティブがあると、紹介する側の社員のモチベーションにつながります。1~30万円の間で設定している企業が多く、報酬の他に会食費として贈呈するケースもあります。

インセンティブが支払われるタイミングはさまざまです。紹介が決まった時点で支給するところもあれば、採用決定時や入社後に「お祝い金」などの名目で支給するところもあります。

3.ルールの策定

リファラル採用制度を取り入れるときは、既存社員のモチベーションを高め、公平性を保つことも重視してください。奨励したいことや禁止事項をルールとして明確化しつつ、違法性のないよう就業規則や賃金規定なども見直す必要があります。

リファラル採用に関するルールは、たとえば以下の項目があげられます。

・共有の方法
・守秘義務
・紹介した社員へのインセンティブ
・紹介した社員への評価

この中で違法性を危惧すべきポイントは、人材を紹介した社員へのインセンティブです。通常、職業紹介事業を有料で行うときは厚生労働大臣の許可を得なくてはならず、インセンティブを人材紹介のための報酬とすると違法となってしまいます。

そのため、インセンティブを付与する際は、就業規則の内容を見直しつつ給料として支払う必要があります。ただし、報酬が高額な場合も職業安定法に抵触するおそれがあるため、注意が必要です。
参照:職業安定法(厚生労働省)

また、人材紹介ができた社員とできなかった社員との間に不公平が生まれないよう、評価制度にも十分注意しましょう。リファラル採用制度の導入にともなって就業規則や賃金規定の見直しが必要となる理由は、このためです。

リファラル採用制度を運用するときのポイント

リファラル採用制度は、採用目標を達成するためにも活用できます。

実際にリファラル採用制度を運用するときは、以下にあげる2つのポイントを意識しましょう。

リファラル採用のフローを決定する

社内でリファラル採用の認識率を向上させるなど、運用するためにはいくつかのステップを踏む必要があります。社内告知から人材紹介の仕組み作り、選考時の戦略立てまでのフローを決定しなくてはなりません。

社内告知では「何を」「誰に」「どのように伝えるか」はもちろん、情報発信の頻度も決めておきます。定期的に成果を発表するのも良いでしょう。

また、リファラル採用制度を円滑にするためには、紹介してくれる社員の負担を減らすことも重要です。どこまでを社員に任せるのか、選考はどのようなフローで行うのかなど明確に線引きしておくと、作業負担の軽減につながります。

KGIやKPIを設定する

リファラル採用制度の効果を測定するためにも、運用していく中で課題を発見し、改善するための指標が必要です。これらPDCAを円滑に回すためには、KGIやKPIを設定しましょう。

例えば、以下のような目標が挙げられます。

・KGI=採用決定数など
・KPI=協力率、紹介社員数、社員一人あたりの紹介数、決定率など

KPIは各フロー(リファラル採用制度の周知から採用決定まで)の効果を分析し、どこに課題があるのか見つけられるよう設定しておくと効率的な改善につながります。

まとめ

リファラル採用制度を取り入れると、優秀な人材を効率良く見つけることができます。しかしタイミングによっては、求める人材とは異なる優秀な人材を紹介される場合もあるでしょう。

そのようなときは人材情報をストックしておけるツールが役立ちます。TalentClip(タレントクリップ)なら、採用フローの進捗や採用の成否、対応内容なども含めた人材データをストックできます。

文章と画像を用意するだけでオリジナルの求人サイトも作成できるため、専門知識がなくとも手軽にリファラル採用制度向けのサイトを作ることもできます。

採用のためのアドバイスも提供していますので、ぜひ一度ご相談ください。

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