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採用広報の「KPI」「KGI」の立て方やポイントを徹底解説

2023年3月6日

採用広報は、KGIとKPIの両方を設定することで、目的を定量的に管理していくことが重要です。KGIはKey Goal Indicator(重要目標達成指標)の略語で、組織全体が達成するべき最終ゴールを指します。

一方、KPIとはKey Performance Indicators(重要業績評価指標)のことで、KGIを達成するための過程を評価する小さなゴールを意味します。最終目標までの道のりを細分化した中間目標といえるでしょう。

ここでは採用広報に必要なKPIと、KPIが重要な理由を解説します。

採用広報におけるKPI8選

採用広報で成果を出すには、KPIの設定が重要です。目標と現状を数値で比較できるため、客観的な進捗情報を共有できます。また、どの項目に課題があるのか一目で分かるので、費用対効果を高めるための軌道修正を適宜図ることができるのです。

採用広報において設定するKPIは企業によってさまざまですが、

・採用チャネルにおける成果指標
・採用工程における成果指標

の2つに分類できます。それぞれ具体例を紹介します。

採用チャネルにおける成果指標

採用チャネルには、求人広告や会社説明会、採用サイトやSNSなどがあります。

認知度を重要視する場合のKPIであれば、以下のような項目で設定するといいでしょう。

・採用動画の視聴回数
・採用サイトのPV数
・投稿の表示回数(インプレッション数)
・SNSのフォロワー数

チャネル内の指標は、実際に求職者が応募して採用工程が始まる前段階のものです。どれだけ多くの人に認知が広まっているかを評価します。

反響の多いコンテンツとそうでないものを比較することで、自社の訴求ポイントを分析することも可能です。

また、採用サイトのアクセス分析はGoogleアナリティクスなどのツールの活用をおすすめします。アクセスユーザーの年齢や性別など、属性も分かるため、ターゲットユーザーに届けられているかが評価でき、コンテンツの改善にも役立ちます。

採用工程における成果指標

採用広報が採用の成果につながっているかを工程ごとに評価します。

成果指標としては、主に次の4つが挙げられます。

1. 求人応募数
2. 選考通過率
3. 内定辞退率
4. 定着率(早期離職率)

SNSや採用動画などがよく見られていても、応募数が少なければ改善が必要です。

また、選考通過率が低い場合は、自社の求めている人材に訴求できていない可能性があるでしょう。

内定辞退率や定着率が悪いときは、実態に伴わないアピールになっていないか、情報は充分かどうかを検討します。

採用広報にKPIが必要な2つの理由

KPIの設定が効果的な企業は、

・採用広報のコンテンツを改善していきたい
・応募者が増え始めたものの、採用ノウハウがまだ蓄積されていない

といった企業です。具体的に得られるメリットとして、以下の2つが挙げられるでしょう。

採用活動の課題を明確化できる

KPIが設定できていれば、客観的に採用活動を評価するだけでなく、ネックとなっている課題を抽出することができます。

特に、採用広報におけるコンテンツ改善は、不確定要素が多く難しい作業です。

・コンテンツ発信の手段は適切か
・ペルソナ設定は適切か
・自社イメージを的確に伝えられているか
・リピーターやファンを増やすための工夫がされているか

など、効果検証や分析を行いながら戦略を決めていく必要があります。

そのため、採用広報で成果を出せておらず、何を改善すればいいのか分からない場合や、より成果を出すためにどうすればいいか分からない場合も多いのです。

一方、適切なKPIが設定できていれば、その達成度合いによって、広報活動の何が上手くいってないかを明確化することができます。

自社への貢献度を理解してもらえる

採用広報として、インタビューやSNS活動など、社員に協力を依頼することもあるでしょう。採用広報の活動は、社内での連携が必要不可欠です。しかし、本来の業務に忙しい社員からはなかなか協力を得られないということもあるかもしれません。

KPIを適切に設定すると成果を可視化できるため、経営層や他部署から評価や理解が得られます。自社の採用目標や採用課題を数値で示すことで、部署としてどの数字を負っているのか、対して現状はどのくらいの数値で留まっているのかを具体的に伝えることができます。

社員に対してどう協力して欲しいのか、協力がなぜ必要なのかを根拠をもって示すことができるため、前向きに参加を検討してもらえる可能性が高くなるでしょう。

最適な採用広報のKPIを設定するための重要なポイント

採用広報のKPIを何に設定するかは、正解がありません。採用チャネルや採用目標によっても異なり、利益などの分かりやすい指標を設定できないため、KPIの設定は慎重に行う必要があります。

ここからは自社に合ったKPIを決めるときのポイントを見ていきましょう。採用工程における評価指標を例に解説していきます。

ステップ1.KGIを設定する

KPIは、最終目標であるKGIを達成するための具体的な行動指標になります。

KGIとしてよく設定されるのは採用人数でしょう。組織や事業全体の目標と経営戦略を理解したうえで、目指すべき数字を定めます。

また、このとき採用ターゲットの要素を明確化させておくことも重要です。求めるスキルや実績について考慮しながら、実現可能なKGIを設定しましょう。

ステップ2.各採用チャネルごとの採用フローを洗い出す

KPIは実際の広報活動に準じた数値を決める必要があります。

求人媒体やダイレクトリクルーティング、ソーシャルリクルーティング、リファラル採用など、複数の採用手法を同時進行する企業もあるでしょう。

採用チャネルによって採用フローは異なります。それぞれの採用フローを洗い出し、各工程でどのような目標数値が最適かを明確化しておきましょう。

ステップ3.歩留まり率を設定する

歩留まり率は、KPIを決定するうえで重要な数値です。歩留まり率とは次の段階へ進んだ人数の割合を示し、「通過数÷対象数×100」の計算式から算出します。

採用広報で歩留まり率を設定するときは、以下の6段階で考えます。

認知:オウントメディアや採用動画でどれだけの流入を得たか
興味:認知したユーザーのうち、どれだけの人数がアクション(フォローやいいねなど)したか
検討:アクションしたユーザーのうち、どれだけが自社を取捨選択の候補としたか
応募:比較検討したユーザーのうち、どれだけが自社に応募したか
選考:応募したユーザーのうち、どれだけが選考に進んだか
採用:選考に進んだ応募者のうち、どれだけが採用に至ったか

たとえば、応募者10名のうち8名が書類選考を通過、4名が面接に進み、内定者が2名の場合、それぞれの歩留まり率は次のようになります。

書類選考通過率=8÷10×100=80%
面接通過率=4÷8×100=50%
内定率(選考通過率)=2÷4×100=50%

ステップ4.KPIを設定する

最後にこれまでのステップを利用してKPIを設定します。設定する手順は、「1.採用チャネル別の採用人数比率を決定する、2.採用フローに数字をあてはめる」です。

採用人数は最終的な目標であるKGIの数から逆算して採用チャネルごとに決め、ステップ3で決定した歩留まり率を採用フローごとに当てはめます。

たとえば、KGIの採用人数が10人で、リファラル採用による採用を30%と想定した場合、リファラル採用での内定者3名が選考通過率のKPIとなります。

次に、採用フローに歩留まり率をそれぞれ当てはめて、各段階で必要な人数を算出します。ステップ3の歩留まり率を当てはめると、内定率は50%のため、内定者3名が必要であれば、面接通過者は6名必要であることがわかります。

このようにそれぞれのフローで必要な人数を算出し、KPIとして設定します。

採用KPIの設定と運用のポイント

採用KPIの設定で意識したい、留意したいポイントを解説します。

KPI設定はSMARTの法則に沿って行う

目標設定の方法であるSMARTの法則に則ってKPIを設定しましょう。KPIが無益に終わらないよう、次の5つの基準を満たしているかを確認します。

1.指標が具体的でわかりやすい
2.測定可能な指標である
3.実現可能な指標である
4.経営目標に沿った指標である
5.指標を達成するための期限を設けている

リアルタイムで数値を管理する

KPIを運用する際は、リアルタイムで数値管理することが重要です。採用広報活動の関連する状況は、常に変化しています。最新の数値を常に確認し、目標とのギャップを意識しましょう。

PDCAサイクルを徹底する

日々変化する状況の中で、採用広報を最適化するためにはスピード感が重要です。課題を発見したら、すぐに改善策を講じましょう

改善策を講じた後は、実際に採用の制度が高まっているかを確認します。PDCAサイクルを徹底することで、最適化が進みます。

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まとめ

採用広報におけるKPIは、各チャネルの成果指標と採用工程における成果指標の大きく2つに分けられます。事前に設定したKGIをもとに、各チャネルの採用フローや歩留まり率を決めてKPIを設定しましょう。

KPIは採用担当者が「達成できる」と納得できる数値にします。設定したらそれで終わりではなく、常に最新の値を確認し、最適なKPIへと改善していきましょう。

 

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