
コンピテンシーで求める人材を採用できる!モデルの作り方を徹底解説
「求める人材をなかなか採用できない」と採用活動に限界を感じている採用担当者もいるでしょう。採用活動を見直すなら、コンピテンシーを採用活動に組み込むのも方法のひとつかもしれません。
この記事では、採用活動で注目されているコンピテンシーについて解説します。
この記事の目次
コンピテンシーとは?
採用活動でコンピテンシーを取り入れる前に、コンピテンシーとは何か整理してみましょう。
業績や成果をあげるための行動特性
コンピテンシーとは、高い成果や業績を上げる人に共通する行動特性のことです。高い成績や業績を残す人は、スキルや能力が優れているからと関連付けられることもありますが、スキルや能力がすべてではありません。
能力が高くても、行動や思考ができていないと、うまく能力が活用されることにはならないでしょう。コンピテンシーは、能力やスキルと分けて考えるべきもので、評価の高い人が共通してもつ行動や考え方をみるものです。
コンピテンシーが採用の現場で注目されている理由
コンピテンシーは、社内の人材育成だけでなく、採用の場でも注目されるようになってきました。
ひとつは、成果主義で人事評価を行う企業が増えたためです。成果主義では、それぞれの業績が評価に反映されますが、結果だけで社員を評価するのは適切とはいえません。それぞれの能力を評価する意味でコンピテンシーによる評価が取り入れられるようになりました。
また、コンピテンシーによる評価は、既存の社員だけでなく、これから会社に入ってくる人材の評価でも有効です。企業は常に競合他社と競い、成果を出すために能力の高い人材を求めています。成果を出せる可能性の高い人材を獲得できる点で、コンピテンシーが採用の場でも注目されているのです。
コンピテンシーを採用活動に導入するメリット
採用活動におけるコンピテンシーとは何か概要を説明してきました。この項では、コンピテンシーを採用活動に取り入れるメリットを見ていきましょう。
客観的な視点で見極めができる
採用時の評価基準として、求職者の学歴や専門知識、資格などを重視する企業もあります。しかし、学歴や資格だけでは人材の見極めは困難であり、採用すべき人材を見落としてしまったり求める人材を採用できなかったりするケースも多いでしょう。
コンピテンシーを採用活動に導入すると、求職者の本質を見極められるようになるため、客観的な視点で応募者を評価できるようになります。
また、コンピテンシーの導入により、採用に関わる担当者同士で評価基準の共通認識がもてるようになります。評価の偏りも防げるようになるでしょう。
優秀な人材を採用できる
コンピテンシーは、社内で成果を出している人たちに共通する行動や思考です。すでに成果を出している人の行動特性から評価するものですから、企業にとって成果を上げられる人材を採用できる可能性が高まります。
これまでスキルや知識を中心に評価してきた企業であればなおさら、より広い視野で人材を見極めることができるでしょう。コンピテンシーの活用によって優秀な人材が集まれば、会社のさらなる成長にも期待がもてます。
ミスマッチを防止できる
より多く、ターゲット人材からの応募を集めるためには、自社がどのような人材を求めているのかを求職者にわかりやすく伝えることが重要です。
コンピテンシーがあれば、求職者に対して自社の求める人材について最適な言葉で説明できるため、自社にマッチした人材からの応募を増やすことができます。
自社にマッチした人材を採用できるようになると、入社後のミスマッチを防げるようになり、新入社員の早期離職も減らすことができるでしょう。
コンピテンシーモデルの作成方法
どのような方法でコンピテンシーを導入すれば良いのでしょうか。
実際の業務にコンピテンシーを導入するためには、コンピテンシーモデルを作成する必要があります。
コンピテンシーモデルとは、実際の業務で活用するために、コンピテンシーをモデル化したものです。
では、コンピテンシーモデルの作成方法をみていきましょう。
採用したい人物像を明確化する
採用活動におけるコンピテンシーモデルとは、言い換えると「採用したい人物像」です。コンピテンシーモデルを作成するために、まずはどのような人材を採用したいかを明確にしましょう。
採用したい人物像を明確にするには、以下の3つの方法があります。
・実在型モデル
・理想型モデル
・ハイブリッド型モデル
実在型モデル
社内で活躍している優秀な社員をモデルに、高いパフォーマンスと結果を出せる要因を分析してコンピテンシーモデルを作成する方法です。
理想型モデル
事業内容や企業理念などから自社が求める人物像を作り上げ、理想の人物像に必要な要素をピックアップしてコンピテンシーモデルを作成する方法です。
ハイブリッド型モデル
実在型モデルと理想型モデルを組み合わせた方法です。実物型モデルをベースに、不足している部分を理想型から加えることで、より自社が求める人物像に近づけていきます。
コンピテンシーモデルの項目を作る
求める人物像が明確になったら、次はコンピテンシーモデルの項目を作成しましょう。
項目を作成する際は「コンピテンシー・ディクショナリー」の活用がおすすめです。「コンピテンシー・ディクショナリー」とは、コンピテンシーモデルを構成する要素についてまとめたもので、以下の6領域20項目に分類されています。
達成・行動 | 達成・正確性への関心/イニシアチブ/情報収集 |
援助・対人支援 | 対人理解/顧客支援志向 |
インパクト・対人影響力 | インパクト・影響力/組織感覚/関係構築 |
管理領域 | 他者育成/指導/チームワークと協力/リーダーシップ |
知的領域 | 分析・概念的志向/技術的・専門職的・管理等専門性 |
個人の効果 | 自己管理/自信/柔軟性/組織コミットメント |
「コンピテンシー・ディクショナリー」の項目を参考にして、自社のコンピテンシーモデルに必要な要素を追加したり省いたりしながら、具体的な項目を作成していきます。
ハイパフォーマーの社員にヒアリングする
コンピテンシーモデルの作成方法として「実在型モデル」もしくは「ハイブリッド型モデル」を選択した場合は、社員にヒアリングを行い、データを集めていきましょう。
具体的には、コンピテンシーモデルになり得る高い成果を出している複数の社員に、仕事の取り組み方や価値観について質問していきます。
また、社内のさまざまな社員の特徴も調べると、ヒアリングした社員との比較データも収集でき、より高精度な人物像が作成できるようになるでしょう。
自社のビジョンや価値観に照らして作成する
収集したデータをもとにコンピテンシーモデルが作成できたら、自社のビジョンや価値観と照らし合わせます。
企業の方向性とコンピテンシーの項目を一致させることは、入社後のミスマッチを防ぐためにも重要です。そのため、相違があった場合はコンピテンシーモデルの項目を調整しましょう。
コンピテンシーを面接で活かす方法
次に、コンピテンシーは採用時にどのようにして使えるのか、面接の見極めにおけるコンピテンシーの活用について説明します。
コンピテンシーによる面接について
応募者の行動特性からポテンシャルを見極める面接手法を、コンピテンシー面接といいます。コンピテンシー面接の特徴は、面接官によって評価や質問方法にバラつきが出にくいところです。
コンピテンシーを見極める評価基準をもとに、応募者の過去の取り組みを掘り下げるやり方で面接を行うため、客観的な視点で応募者を評価できます。面接官が変わっても評価を標準化でき、主観的な評価に偏らない点がコンピテンシー面接のメリットです。
コンピテンシーにおける評価基準
コンピテンシー面接では、応募者の行動特性を、コンピテンシーと照らし合わせて、以下のような5段階の基準で評価します。
■レベル1.受動行動
指示されたから行動した、やらなければならない状況だったから行動したなど、行動に思考を感じられないレベルを1とします。
■レベル2.通常行動
場に応じた適切な行動はとれるものの、行動に対して工夫がみられず、誰が同じ立場であっても同じような行動をしたと考えられる行動レベルです。
■レベル3.能動・主体的行動
場の状況に合わせて、自ら考え最善と思われる行動をとった場合、レベル3の基準に達していると判断します。優秀な人材を採用するには、少なくともレベル3以上はほしいところです。
■レベル4.創造・課題解決行動
創意工夫ができ、PDCAサイクルを回せる、組織を活性化する人材です。特にアイディアや課題解決が必要とされる職種で重宝されます。
■レベル5.パラダイム転換行動
まったく新しい斬新なアイディアで、組織にインパクトを与える人材です。レベル4が、すでにあるものから創意工夫するのに対し、レベル5は、ゼロの状態から新しいものを創り上げる能力があります。
コンピテンシー面接での質問例
コンピテンシー面接では、Googleが採用している行動面接(STAR面接)を意識すると、応募者がどのコンピテンシーレベルかを判断しやすくなるでしょう。
STAR面接では、ひとつの問題に対して「状況、課題、行動、結果」を掘り下げていきます。
状況(Situation)に関する質問
・どのような組織で、どのようなチーム体制でしたか
・どのような状況で、どのような役割でしたか
・責任や権限はもっていましたか
課題(Task)に関する質問
・どのような目標をもっていましたか
・問題が発生したきっかけを教えてください
・なぜその問題に気付いたのですか
行動(Action)に関する質問
・その課題に対してどのようなアプローチを行いましたか
・課題解決のためにどのようなプランを策定しましたか
・行動した内容を順番に聞かせてください
結果(Result)に関する質問
・課題はどの程度、解決できましたか
・計画したプラン内容に問題点などはありましたか
・周りへの影響はどうでしたか
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コンピテンシーを採用活動で導入する際の注意点
コンピテンシーを採用活動に導入する際は、以下のふたつに注意しましょう。
現場で浸透させる
作成したコンピテンシーモデルが腐敗化しないように、すべての社員に通知して、社員の共通認識として浸透させることが重要です。
またコンピテンシーモデルが現場にそぐわないケースもあります。現場で求められている能力や現在のフェーズにマッチしているかどうかもチェックしましょう。
定期的に更新する
時代の変化とともに、企業が人材に求める内容も日々変わっていきます。そのため、コンピテンシーモデルは定期的な見直しと更新が必要といえるでしょう。
またコンピテンシーモデルを導入したからといって、すぐに結果が出るわけではありません。なぜなら、社員の思考や行動のクセはすぐには変えられないからです。
そのためコンピテンシーモデルは、ブラッシュアップしながら長期的に運用することが望ましいとされています。
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まとめ
企業の採用活動では、能力やスキルだけでなく、コンピテンシーによる評価が注目されるようになってきました。自社に合った優秀な人材を確保するには、コンピテンシー面接の手法が有効です。
人材情報にアクセスできるTalentClipを活用して、効果的に採用活動を進めていきましょう。