
採用ペルソナって?設計方法から大事なポイントを紹介
採用マーケティングには、企業が必要とする要件に基づいて、架空の人物像を設計する「ペルソナ」という手法があります。このペルソナを作っておくことで、効率よくアプローチができたり、面接の評価基準になったり、入社後のミスマッチを防げたりすることが可能です。
この記事では、採用活動においてどのようにペルソナを設計すれば良いのか、手順や具体例を紹介します。
この記事の目次
【5ステップ】採用ペルソナの設計方法
採用におけるペルソナを設計する手順は全部で5つです。順を追って見てみましょう。
1.ヒアリングによりペルソナを定義化する
まずは、経営者や人材を必要としている現場の社員から、どのような人物を求めているのかヒアリングを行います。経営者の意見は、これからの企業の方向性が反映されていますし、現場の社員の意見は、採用した人物を指導したり、一緒に仕事したりするので重要です。この時点では制限を設けず、思いつくままに発言してもらいましょう。
逆に、これといった人物像が思い浮かばない場合は、実際に自社で活躍している社員をモデルにすると、イメージしやすくなるはずです。
2.採用目的の明確化
採用目的によっても、設計されるペルソナは大きく変わります。例えば、新規採用と中途採用、退職者の補充と新規プロジェクトの要員では、求められる人材が異なるはずです。
採用目的から掘り下げて、ペルソナに盛り込む要素を洗い出してみましょう。もし、退職者の補充であり、同じ仕事をしてもらうのであれば、必要なスキルや経験、共に働く社員との相性などが重視されるはずです。
3.求める人物像の要件をまとめる
ここまで集められた要件をまとめて、ペルソナを肉付けしていきます。土台となるのは、「経験やスキル」「スペック(仕様)」「思考パターンや価値観」の3つです。
例えば、入社後に指導する前提で営業担当者を採用するのであれば、経験はそれほど必要としないでしょう。ただし、ある程度コミュニケーションできて、積極性もあるほうが望ましいかもしれません。
指導するのが30代の先輩社員なら、30歳以下のほうがお互いやりやすいでしょう。素直で真面目で課題に対して熱心に取り組める性格なら、仕事も頑張れるはずです。
ここまで肉付けできたら、次は、このような人物はどのような性格や行動パターンなのか考えてみます。
コミュニケーション能力も積極性もあるなら、学生時代は運動部やサークル活動に勤しんでいたかもしれません。友達が多く、よく飲みにいったり、遊びにいったりしていることも想定されます。
このように、細かなキャラクターを決めながら、まるでペルソナが実在しているかのように設計しましょう。
4.要件に優先順位をつける
たとえ理想的なペルソナが完成しても、100%一致する人物が実在するわけではありません。ある要件は満たしても、別の要件を満たさないというのが一般的です。あまりにも100%にこだわると、誰も採用できない破目になってしまいます。
そこで、ペルソナの要件を以下の3つに分類して、優先順位をつけましょう。
・MUST(絶対に欠かせない要件)
・WANT(あると望ましい要件)
・NEGATIVE(望ましくない要素、別になくても良い要件)
ここまで完成したら、再度経営者や現場の社員と検証して、修正やイメージのすり合わせを行いましょう。
5.転職市場に合わせた要件に絞り込む
最後に、完成したペルソナに基づいて求人情報を作成します。
ひとつ気をつけたいのは、せっかくペルソナを設計しても、市場に該当者がいなければ、いつまでも応募がありません。特に転職市場は、新卒に比べて元々の人数が少ないので、該当者が限られます。
もし、ペルソナに対して応募数が少ないなら、経営者や現場の社員と相談して、優先順位を変えるなど調整を行いましょう。
【ターゲット別】採用ペルソナの例
続いて、新卒採用と中途採用でペルソナを設計する流れを見てみましょう。
新卒採用におけるペルソナ
新卒で採用する人材は、これからの企業を担う存在です。少なくとも、企業のビジョンや事業内容に共感してくれる人材でなければいけません。できれば、社風や働き方が本人の価値観と一致するのが望ましいでしょう。その上で、今後の経営計画に基づいて、必要なスキルや適性、人間性を細かく決めます。ここまでがペルソナの土台です。
次に土台となる要件を満たしているのは、どのような人物か考えます。出身地や家族構成、学部をはじめ、体育会系か文化系、理系か文系といった違いもあるはずです。
将来の夢についても考えておきましょう。なりたい将来像や歩みたいキャリアパスがあっても、企業で実現できなければ意味がないからです。
こうして完成したペルソナの要件に順位をつけて、求人情報への反映と、採用の評価基準として使用します。
中途採用におけるペルソナ
中途で採用する人材は、新卒よりも採用目的が明確です。経験やスキル、人間性など、現場の意向も強く反映されます。ただし、それだけでペルソナを設計するのは不十分です。
中途採用で応募してくる求職者は、転職の動機があります。それがペルソナに反映されていないと、心に響くアプローチができません。現職でどのような不安や不満を抱えているのか、転職で何を実現したいのか考えてみましょう。
もちろん、企業側はすべての不安や不満を解消することも、求職者の理想を何でも実現することもできません。あくまでも考えられる理由の中から、自社で対応できることをペルソナに反映します。
新卒採用と違って、人材の数が限られているため、競合相手となる企業との違いも明確にしましょう。あえて自社を応募したくなる理由があるはずです。そこをペルソナに盛り込み、アピールするときに強調します。
ペルソナを設計する上でやってはいけないこと!
最後に、ペルソナを設計する上で避けたいことを見てみましょう。
都合の良いペルソナを作らない!
ペルソナを設計するときは、どうしても自社にとって都合の良い要件を盛り込みがちです。その結果、実在しないペルソナになってしまうおそれがあります。
必ず求職者の立場になり、どのような理由で自社に応募するのか考えましょう。
細かすぎるペルソナを作らない!
ペルソナの要件は細かいほど、人物像は明確になりますが、すべてをMUSTやWANTにすると、該当者がいなかったり、どの要件を重視すべきか混乱したりします。
あまり仕事と関係ない要件についてはNEGATIVEに回すなどして、MUSTやWANTを絞り込みましょう。
ペルソナを設計!採用活動を始めるなら採用管理システムの導入
過去の応募を見ると、どのような人物が、自社のどこに魅力を感じ、どのような目的で応募してきたのか、傾向が見えてきます。ペルソナを設計するときの参考にもなるでしょう。しかし、過去の応募者の情報を履歴書など紙だけで管理するのは大変です。
TalentClip(タレントクリップ)は、過去の応募者をデータベース化して、いつでも簡単に参照できます。ペルソナを設計するときの参考になるだけでなく、必要なときにすぐアプローチできるでしょう。
お問い合わせはこちらです。
まとめ
ペルソナを設計するときは、経営者や現場の社員の意見、採用目的などを反映し、土台を作ったら細かな要件を肉付けします。優先順位をつけ、市場に合わせて調整することで、単に自社の希望を盛り込むだけでなく、なぜ応募するのか求職者の気持ちも考えましょう。